もう一人の自分

日本に帰化して約20年。 日本国民の一人として普通に暮らしていますが、元在日として思うこと、あれこれいろいろ。

私の祖国

私の祖国は日本です。

ただ、自分の祖国を日本と思い定めるまでには、いろいろと悩んだ事もありました。

 

祖国。

そんなことを意識するようになったのは、中学生から高校生にかけての時期です。

私は中学生の頃、祖国とは自分の先祖の国を指すものだと思っていました。

ただ、自分の先祖の国がどこなのかを考えると訳が分らなくなってしまいます。

 

私の祖父母は済州島出身。

その済州島は今は韓国なので、では私の祖国は韓国。

でも、韓国は戦後に出来た新しい国だし、先祖の国ってのも何か違う。

ならば、祖国は李氏朝鮮かと言うと、それはもっと違う。

 

祖国って一体何だろう?

そんな事を考え出すと、答えが見つからずに悶々としたものでした。

 

韓国に住んでる人達の祖国は韓国?

じゃぁ北朝鮮に住んでる人達は北朝鮮?

いろんな民族が取って代わってきた中国の人達の祖国は?

いろんな国から移住してきたアメリカでは?

琉球王国だった沖縄の人達の祖国って?

 

私にとって外国でしかない韓国や北朝鮮を自分の祖国と思うことも出来ず、

祖国の無い曖昧な自分の存在が悲しくなったこともありましたが、

いろいろと悩み、いろいろと考えながら、

そしていつしか、自分の祖国を見つけることが出来ました。

 

祖国。

自分の中で自分の国だと思える国が祖国だったんです。

それは先祖の国ではなく、自分の国のことでした。

日本で生まれ育ち、日本語を話し、日本の文化で暮らし、日本の感覚を持ち、

そして何よりも、日本が好きであるならば、

私の祖国は日本です。